2020年7月19日

なんかの本で読んだ話し。

ある山の麓(ふもと)で、おじいさんと孫が、山鳩(やまばと)の雛(ひな)を育てていた。その山の反対側に、別のおじいさんと孫がいて、こっちは鷹(たか)の雛を育てていた。それぞれの雛が成長して、飛べるようになったんで、ある日、空に放してやった。そしたら、鷹が山鳩を食べてしまった。山のこっち側では、山鳩が食われたって泣いた。向こう側では、鷹が初めて餌(えさ)を得ったって喜んだ。一つの現象なのに、山のこっちと向こうでは、まるで正反対のことが起きたことになった。

妙(みょう)な話しだけど、人生の喜びや悲しみは、根本的(こんぽんてき)にそういうものだ。この世で起きることには、本来、何の色もついていない。

そこに、喜びだの悲しみだの色をつけるのは人間だ。

麓:山の下の部分

雛:鳥の子供

山鳩:山に住む鳥

鷹:肉食の鳥で、山鳩より大きい

得る:(手に入れる

正反対:全く反対なこと